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徹底解説|L2 VXLANとL3 VXLANの違いについて

はるき2025年3月20日読了時間約1分

従来のデータセンターや企業ネットワークでは、VLAN(Virtual LAN)によるネットワーク分割が主流でした。しかし、急速に拡大するクラウドサービスや仮想化環境の普及に伴い、従来のVLANが抱える拡張性・柔軟性の問題が顕在化してきました。そこで注目される技術がVXLAN(Virtual Extensible LAN)です。VXLANは、レイヤー2の仮想ネットワークをレイヤー3上でカプセル化し、大規模なネットワーク環境においても柔軟かつ効率的なネットワーク構築を実現します。この記事では、L2 VXLANとL3 VXLANの違いに着目し、その基本概念から実際の利用ケースに至るまで徹底解説していきます。
VXLANの基本概念と仕組み
VXLANとは?
VXLANは、従来のVLANの拡張性の限界を解消するために設計されたトンネリングプロトコルです。物理ネットワークの制約を越えて、論理的なネットワークを構築できる点が特徴です。
従来のVLANは4096個という制限があり、大規模なデータセンターでは柔軟なネットワーク構成が困難でした。VXLANはMACアドレスをIPネットワーク上でカプセル化することで、仮想ネットワークを構築し、従来のVLANよりもはるかに多くのセグメントを実現することが可能になります。これにより、仮想化環境やクラウド環境での大規模ネットワークの構築や管理が容易となります。
VXLANの仕組み
VXLANは、オーバーレイネットワーク技術の一つで、既存のL3ネットワーク上に仮想的なL2ネットワークを構築するために使用されます。具体的には、各エッジデバイス(VTEP:VXLAN Tunnel Endpoint)が、仮想ネットワーク間のパケットをカプセル化して物理ネットワーク上を転送します。このカプセル化プロセスにより、物理ネットワークの境界を超えてデータをやり取りできるため、データセンター間の広域分散配置やクラウド環境での柔軟なリソース配置が実現されます。
L2 VXLAN vs L3 VXLAN
VXLANの実装には、主にL2 VXLANとL3 VXLANの2種類があります。それぞれの技術は、ネットワーク構成や運用ポリシーに合わせた特性を持っています。
定義
L2 VXLAN: L2 VXLANは、従来のレイヤ2ネットワークを拡張するための技術です。物理的なL2ドメインを超えて、複数のデータセンターやサーバールーム間で同一のブロードキャストドメインを実現することができます。これにより、仮想マシンの移動やライブマイグレーションなど、物理的なサーバーの場所に依存しない運用が可能となります。
L3 VXLAN: 一方、L3 VXLANは、レイヤ3ネットワーク(IPネットワーク)を介して、複数のL2セグメントを接続する技術です。L3 VXLANは、異なるIPネットワーク間のルーティングを実施しながら、VXLANのカプセル化技術を利用して論理ネットワークを構築します。これにより、より複雑なネットワークトポロジーや大規模な環境でも柔軟な接続が可能となります。
機能
L2 VXLANの機能:
L3 VXLANの機能:
アーキテクチャ設計
L2 VXLANアーキテクチャ: L2 VXLANでは、VXLANエッジ(VTEP:VXLAN Tunnel Endpoint)が主要な役割を担います。各VTEPは、ローカルの物理サーバーや仮想スイッチに配置され、カプセル化/デカプセル化処理を行います。データセンター内の全サーバーを同一の論理ネットワークとして接続するため、ネットワークの設計は比較的シンプルとなります。
L3 VXLANアーキテクチャ: L3 VXLANでは、ルーター機能を持つデバイスがVTEPとして動作し、カプセル化されたパケットの中継とルーティングを実施します。これにより、複数の異なる物理ネットワークやデータセンター間の接続が実現され、効率的なトラフィックの分散が可能となります。特に、クラウド環境や大規模企業ネットワークにおいては、L3 VXLANが採用されるケースが増加しています。
適用ケース
L2 VXLANの適用ケース
同一データセンター内のサーバー間接続
:仮想マシン間の直接通信が求められる環境。
ライブマイグレーションのサポート
:仮想マシンの移動時にもネットワーク接続を維持。
シンプルなネットワーク管理
:物理的な制約を受けず、拡張性を重視する中小規模のデータセンター。
L3 VXLANの適用ケース
複数データセンターの統合
:地理的に分散したデータセンター間でのシームレスな通信。
大規模クラウド環境
:複雑なトラフィック分散やルーティングが必要な場合。
セグメント間通信の最適化
:セキュリティとパフォーマンスを両立させたネットワーク設計が求められる企業環境。
まとめ
本記事では、VXLANの基本概念からL2 VXLANとL3 VXLANの違い、さらにはそれぞれの機能・アーキテクチャ設計および適用ケースについて解説しました。L2 VXLANは同一データセンター内での仮想環境構築に、L3 VXLANは複数のデータセンター間の統合や大規模なクラウドネットワークの構築に適しています。L2 VXLANとL3 VXLANの選択は、アーキテクチャや要件に応じて判断する必要があります。
ネットワーク仮想化の目標をさらにサポートするため、FSは、ネットワークアーキテクチャを最適化し、データセンターおよびクラウド環境の柔軟性と効率性を高めるよう設計された高性能VXLANスイッチなどのデータセンターネットワークソリューションを提供しています。ネットワーク容量の拡張やネットワーク機能の向上など、FSの製品とソリューションがお客様のニーズにお応えし、ネットワークの最適化によるパフォーマンスと柔軟性の向上を支援します。