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MLAG、vPC、STP、それぞれの意味とは

こばやしDec 21st 2024より更新読了時間約1分

ネットワークの高速化において、速度低下・高遅延の問題を解決しなけれなりません。ネットワークが大規模になれば、その基幹部分を経由した通信量も膨らんでいきます。そこで、ネットワークスイッチ同士を複数の物理回線で束ね、一つの仮想的なポートを構成することによって、帯域幅の拡大・回線ボトルネックの解消・高速化が実現されるわけです。
MLAGとは
MLAG(Multi-chassis Link Aggregation)とは、複数の物理リンクでスイッチングハブ同士を束ね、1台のスイッチのように振る舞ってもらうようにする技術です。ちなみに、MLAGは「MC-LAG」とも呼ばれます。「注:物理リンクでは、LANケーブル、光ファイバー、DACケーブルなどが用いられる」
下図の示すように、スイッチングハブのGigabit Ethernetポートを2つずつ束ね、そのリンクアグリゲーションによって、回線の帯域幅は1Gbps x 4=4Gbpsまで拡張できます。
図1:MLAG vs STP(スパンニングツリー)
帯域幅の拡大に伴い、基幹部分の負担が分散され、ネットワーク全体の冗長化が実現されます。1本の物理リンクが障害しても、残りのリンクは肩代わりしてくれるため、システムの耐障害性が更なる向上します。
図2:トラフィックの負荷分散
STP(スパンニングツリー)とは
STPとは、Spanning Tree Protocolの略語で、ループ構成のネットワーク機器において、トラフィックが無限ループに陥るという通信不能の障害を防止するためのプロトコルです。
STPを有効にしない場合に、下記のループ構成のネットワークにおいて、ホストAはフレームをスイッチBとスイッチCにフラッディングし、二台の隣接スッチを介してホストBまで届けるはずだったのですが。しかし、フレームはスイッチCによってフラッディングされ、スイッチAとスイッチBに戻ってしまいます。そういった動作が永続的にネットワーク内で繰り返され、ループ障害を引き起こすわけです。
STPを有効にしたことで、ループ状のスイッチ構成を一変し、あるポートの自動的なフレーム転送機能をブロックすることが可能です。スイッチから全てのポートへの転送はSTPによって中止されたため、ループ障害が回避できました。
Cisco のvPC・VSSとは
vPC(virtual PortChannel:仮想ポートチャネル) とは、シスコ社のNexusシリーズのスイッチ製品に対して、複数のスイッチを束ねて1台のスイッチのように見える技術です。vPCはループ回避やSTPの設定が不要で、負荷分散、帯域幅の拡大、耐障害性など、MLAGと同じ機能を持っています。
VSS(Virtual Switching System)とは、シスコ社のCatalyst6500シリーズのスイッチ製品に対して、2台のスイッチを仮想的な1台に構成するための技術です。vPCと同様に、VSSはSTPが不要で、冗長化のネットワーク機器を1台として管理・メンテをすることが可能です。
図3:vPCとVSSの仕組み
MLAG、vPC、VSS、三つの「仮想化技術」の違いとは
項目
vPC
VSS
MLAG/MC-LAG
ベンダー
Cisco
Cisco
Arista/Juniperなど
STPの有効化
不要
不要
不要
説明
スパンニングツリーを使わずに、L2ネットワークの冗長化
Cisco Catalystスイッチを仮想的に1台の論理スイッチ、として運用する
2台のスイッチを論理的に、1つのスイッチとして構成
対応スイッチ
L2スイッチ
L2/L3スイッチ
L2スイッチ
仮想化技術
vPC
VSS
ベンダー
シスコ社のNexusシリーズ
シスコ社のCatalyst6500シリーズ
負荷分散
ループツリー
スイッチの管理・メンテ
それぞれ独立の構成
一体化
最大物理ノード
EthernChannelプロトコル
LACP
PAgP+/LACP
コントロールプレーン
2つの独立ノード
1つの論理ノード